在宅医療の現場から生まれた、調剤薬局の新しいかたち
訪問薬剤管理の業界で草分けとして知られるハートフルケアGroupは、薬剤師夫婦2名のパパママ薬局として1997年にスタートし、現在は関西圏に調剤薬局40店舗を展開する規模に成長した。「薬剤師として、どうすれば役に立てるか」という問いを原点に、在宅や老人ホームでの訪問管理ノウハウを25年近い実践の中で積み上げてきた。医師の往診への同行・現場でのカンファレンス実施・フィジカルアセスメントの推進と、薬剤師が地域医療に積極的に関与する体制が整っている。24時間365日の社内輪番による訪問体制と無菌調剤設備を合わせ持つグループは、在宅医療の対応力という点で関西エリアで際立った存在だ。
副作用の早期発見を目的としたフィジカルアセスメントでは、食事・排泄・睡眠・動作・精神状況の5項目を継続的に観察し、薬剤の安全使用を確認する仕組みを構築している。大型全自動錠剤分包機の導入で一包化・セッティングの迅速化も実現しており、利用者の服薬管理負担を細かく軽減している。「他の薬局のモデルとなるべく進んだ取り組みをしてきた」というグループの言葉は、29年間の実績に裏打ちされたものだ。
子どもから高齢者まで。995名が支える、人生全段階のケア
企業主導型保育園の運営から老人ホームの看取りまで、ハートフルケアGroupの事業は人生のあらゆる局面をカバーする。グループ全体では薬剤師・看護師・作業療法士・栄養士・介護士・保育士を含む総勢995名が在籍しており、同一グループ内での横断的な情報共有と連携が日常的に行われている。ケアプラン作成・福祉用具サービス・訪問介護・デイサービス「楽しみや」・サービス付き高齢者向け住宅と、介護保険の主要サービスを2000年以降の25年で積み上げてきた。在宅から施設へ、あるいは施設から在宅へという状況の変化にも、グループ内でサービスを継続できる仕組みが整っている。
「楽しみや」デイサービスでは季節の飾りづくりや音楽テーマのレクリエーション、共同作業療法を通じて利用者が楽しみながら機能維持に取り組める場を提供。施設系サービスにはユマニチュードと東洋医学の五味調和を活かした食事を取り入れており、「入居後に食欲が戻り表情が豊かになった」という家族の声が届いているという。リハビリを重視した機能回復・維持プログラムも継続実施されており、利用者の自立支援を日々の介護の中心に据えている。
ターミナルケアへの覚悟と、看取りまで支える施設体制
「人生の最後に過ごす時期がとても大切だ」という思いをグループの方針として明確に掲げ、ハートフルケアGroupは施設での看取りを真摯に担ってきた。2015年開設のサービス付き高齢者向け住宅には訪問介護・訪問看護の両事業所を内包し、医療依存度の高い入居者への対応強化と24時間訪問看護によるターミナルケアの充実を進めている。老人ホームのドミナント形式での複数展開により、関西エリアでの面的な看取り対応網が整いつつある段階だ。「自分が入りたい高齢者住宅にしよう」という職員全員の言葉が、施設ケアの姿勢を端的に表していて印象に残った。
自宅でのターミナルケアへの展開も視野に入れており、施設と在宅をまたいだ看取りの選択肢を地域に広げる方針が進んでいる。「最後まで関わってもらえる安心感がある」という声が施設利用者の家族から寄せられており、ハードとソフト両面での体制整備が評価されているようだ。
「ひとづくり・生きがいづくり」を核に据えた組織の方向性
企業ミッションに「ひとづくり・生きがいづくり」を掲げるハートフルケアGroupは、人材育成を経営の最優先課題として位置づける。社内研修の計画的実施・大学との共同研究・地域活動への参加を組み合わせた育成体制を整え、外国人介護人材の養成にも注力している。「アメーバ戦略」による部門別評価と経営者養成プログラムを通じて次世代リーダーを育て、「夢を計画に落とし実現できるひとを育てる」という方針のもとで成功体験の機会を提供し続けている。医療介護コンサルタント事業と「ぴったりホーム」を展開する医療介護ネットワーク事業部も、地域と人を繋ぐグループの機能の一端を担っている。
介護予防の領域ではリハビリ型デイサービスの展開を加速させ、セルフメディケーション支援として医薬品・化粧品・衛生材料の販売も手がけている。薬局の相談窓口をインターネット対応へと進化させる計画も動いており、「健康サポートから終末期までのシームレスなサービス」というグループの目標に向けた整備が着実に進んでいる。「社員とその家族が幸せだからこそ、患者さまに幸せの輪を広げられる」という信念が、995名の組織を動かす共通の土台になっている。


